大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)888 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人福田亀之助の上告理由第一点について。

所論仮登記仮処分命令の被申請人として、亡Dの相続人たる同人妻訴外Eのほか

に、原判示死後認知の確定裁判により相続開始の時に遡つてDの相続人となつた訴

外Fが表示されていなかつたからといつて、該命令に基づく仮登記は無効といえな

い旨の原審の判断は、当裁判所も正当として是認するところである。所論は採用で

きない。

同第二点について。

原審は、所論仮登記は、亡Dの本件山林に対する一〇分の六の共有持分権の移転

請求権保全のためされたものである旨、すなわち、不動産登記法第二条第二号の仮

登記である旨判示しているのである。所論は、原判決を正解しないで、これを非難

するものであり、採用できない。

上告代理人木村鉱の上告理由について。

所論は、原判決が、上告人らの原審における陳述中「被上告人らが亡Dの相続人

の一人たるEのみより本件山林に対する一〇分の六の共有持分権の移転を受けたに

すぎず、他の相続人Fから右権利の移転を受けなかった以上、右権利につき昭和三

三年六月一〇日された移転登記は実体に副わない無効な登記である」との点を明ら

かに摘示していないというけれども、原審が、右の点について審究し、原判決理由

中において、それに対する判断を示していることは原判文上明瞭であるから、原判

決には判断遺脱・理由不備ないし理由そごの違法はない。

しかして、原審の確定したところによれば、亡Dと亡Gおよび被上告人B間の本

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件山林の一〇分の六の共有持分権の売買契約は買主が残代金六〇万円を支払えば当

然に権利が移転する約旨であり、売買契約後Dが死亡したため、相続により、同人

に属する該持分権は、これを買主に移転すべき義務とともに、前示E、Fの両名に

おいて、これを承継したものであるところ(前示のとおりFは、Dの死亡後になさ

れた認知の裁判により相続人たることが確定した者である)、相続登記はEのみが

した関係上、被上告人らは、Eに対し残代金六〇万円を支払つて右持分権取得登記

を了したというのであり、右事実関係のもとにおいては、被上告人らが残代金を支

払つたとき、EおよびFから被上告人らに対し、右持分権は当然移転したものとい

うべきであり、したがつてまた、被上告人らが登記簿上単独所有名義となつていた

Eより前示持分権取得登記を得たとしても、該登記は実体的に真実に合致している

のであるから、有効といわなければならない。されば、被上告人らの権利取得なら

びに登記を有効とした原判決は結局正当である。所論は採用できない(所論引用の

判例は本件に適切でない)。

同第二上告理由について。

原審の証拠関係に照らすと、所論仮登記の抹消登記手続は、申請代理人となつた

司法書士訴外Hの錯誤に基づくものとは認められず、かえつて、同人は、申請人I

(原審共同被控訴人)の代理人である訴外Jより右抹消登記の申請を依頼されたも

のであつて、なんら錯誤はなかつた旨の原審の認定は是認できる。所論は、原審が

その裁量の範囲内において適法にした証拠の取捨判断ならびに事実認定を非難する

ものであり、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

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裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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